入居申請

本年度(2025–2026年)の入居申請書類は、2025年6月25日(水)日本時間午後16時(フランス時間午前9時)までに日本館へご提出ください。入居審査の結果は、入居が認められた方のみに7月上旬にお知らせします

入居に関するお問い合わせが多数届いております。すべてのお問い合わせには、個別に対応できない場合があります。あらかじめご了承ください。

  • 正規居住申請
  • 一時滞在申請
  • 居住者インタビュー

正規居住者となるための条件および居住期間は以下のとおりです。

日本館は商業的なホテルでも単なる寄宿舎でもなく、学生や研究者の国際的な友好親善と日仏間の文化・学術交流の推進の場です。

日本館に居住するには、この目的を十分に理解し、居住者間の交流に積極的に参加する意思が求められます。大学都市の居住者は、長期滞在(正規居住者)と一時滞在の2種類があります。正規居住者には、学生、研究者、芸術家・文化関係専門家の3つのカテゴリーがあり、それぞれに異なる資格要件および滞在期間が定められています。


学生

○入居資格
学生正規居住者の入居資格は次の3つの条件をすべて満たすことです。
(1) 大学入学後3年以上が経過していること。
(2) 年齢が18歳以上であること。
(3) イル・ド・フランスに所在するフランス高等教育機関の修士課程または博士課程に正規登録していること。
なお、芸術実技専攻の学生は、上記の条件が緩和される場合があります。詳細は、お問い合わせください。
○居住期間
大学年度(9月1日から翌年の6月30日まで)です。居住延長は、過去の連続6年における居住期間(7、8月を除く)と合わせて30カ月を超えない範囲で認められることがあります。

研究者

○入居資格
研究者居住者の入居資格は次の3つのいずれかを満たすことです。
(a) 博士号取得者であること。
(b) 高等教育機関、研究機関または大学が承認する研究計画に従事すること。
(c) 研究者として、イル・ド・フランスの大学、高等教育機関あるいは研究機関から招請されていること。
○居住期間
1年以内です。居住延長は、過去の連続4年における居住期間と合わせて2年を超えない範囲で認められることがあります。

芸術家・文化関係専門家

○入居資格
芸術家は、特に分野は問いません。文化関係専門家は、学芸員、文書館員、司書、技術者などを指します。
入居資格は、展覧会、公演、特定の芸術プロジェクトのためにイル・ド・フランスに来ることです。
○居住期間
1年以内です。居住延長は、過去の連続4年におけるの居住期間と合わせて2年を超えない範囲で認められることがあります。

料金表

入居申込み方法

正規居住者としての入居を申請する方は、まずパリ国際大学都市のウェブ・サイト上で入居申請をしてください。(https://bienvenue.ciup.fr/questionnaire/ )
次いで、以下に示す入居資格区分に応じて、日本館への申請手続きをとってください。

(I) 学生正規居住者

必要書類
以下の書類を一括して、PDFで日本館宛にお送りください。メールアドレスは次のとおりです。(administration [at] maisondujapon.org)[at]を@に書き換えてお送りください。
(a) パスポートのコピー
(b) フランスの研究教育機関(または指導教授)の受け入れ証明書
(c) 奨学金の証明書
(d) 日本の最終学歴の修了証明書
(e) 日本の指導教員の推薦状
(f) 履歴書+自己アピール文(両者とも特に指定書式なし)
(g) これまでの研究内容とこれからの研究計画
以上の書類は、日本語、フランス語、英語のいずれかの表記にしてください。ただし、正本が上記言語以外の言語で書かれている場合は、上記言語のいずれかの訳文を付してください。
※(b) については、締切日までに正式の受入証明書が間に合わない場合は、フランスの受入機関、あるいは受入指導教員からの手紙やメールのコピーをとりあえず送付してください。
※(c) は、奨学金を取得しない方は必要ありません。
※(d) (e) は、フランス留学直前の在籍校が日本以外の国の研究教育機関である場合、日本の最終学歴の研究教育機関・指導教員の書類とフランス留学直前の研究教育機関・指導教員の書類を合わせて送付してください。
※(f) について、現住所と連絡先(電話番号、メールアドレス) を必ず明記してください。
※(g) について、A4版横書き3枚程度で書式は自由です。研究計画は、何をいつまでにどこまで仕上げるのか、具体的に記述してください。
選考手続き
選考結果は、6月下旬に本人宛に通知します。 なお、入居館は、日本館とは限りません。他館になる場合があります。

(II) 研究者正規居住者

必要書類
3ヶ月を超える滞在を申請される方は、以下の書類を一括してPDFで日本館宛にお送りください。メールアドレスは次のとおりです。(administration [at] maisondujapon.org)[at]を@に書き換えてお送りください。
(a) パスポートのコピー
(b) フランスの研究教育機関 (または指導教員) の受入れ証明書あるいは日本の所属機関の派遣証明書
(c) フランス滞在中の収入を証明するもの
(d) 簡単な履歴書と業績一覧
以上の書類は、日本語、フランス語、英語のいずれかの表記にしてください。ただし、正本が上記言語以外の言語で書かれている場合は、上記言語のいずれかの訳文を付してください。
選考手続き
申請は随時受け付けます。申請書類を受領後、日本館館長は、日本館および他館の空室状況などを考慮して入居の可否を決定し、本人宛に通知します。

(III) 芸術家・文化関係専門家正規居住者

必要書類
以下の書類を一括してPDFで日本館宛にお送りください。メールアドレスは次のとおりです。(administration [at] maisondujapon.org)[at]を@に書き換えてお送りください。
(a) パスポートのコピー
(b) フランスの受入れ機関あるいは日本の派遣機関による展覧会、公演、研究プロジェクト、研修等の証明書
(c) 展覧会、公演、研究プロジェクト、研修等の予算書
(d) 簡単な経歴書と業績一覧
以上の書類は、日本語、フランス語、英語のいずれかの表記にしてください。ただし、正本が上記言語以外の言語で書かれている場合は、上記言語のいずれかの訳文を付してください。
選考手続き
申請は随時受け付けます。申請書類を受領後、日本館館長は、日本館および他館の空室状況などを考慮して入居の可否を決定し、本人宛に通知します。

居住環境について

居住空間

 パリ国際大学都市日本館の43館のなかでも、日本館はその清潔さ、静かさの点において優れているという評価を得ています。
日本館には広さが11㎡~30㎡の居室が70部屋あり、そのうちのいくつかには、シャワー、トイレが付いています。どの部屋にもベッド、勉強机、本棚、戸棚、インターネット接続、小冷蔵庫、洗面台が備えられています

居住者

 日本館の入居者総数は2024年度では、70名(日本人が38名、外国人が32名)です。
外国人居住者の国籍は20か国に及んでいます。→アルゼンチン、アルジェリア、イタリア、インド、ウクライナ、カナダ、スウェーデン、スペイン、ドイツ、台湾、チュニジア、デンマーク、フランス、ブラジル、シンガポール、ベルギー、メキシコ、モロッコ、レバノンなど。


 このように日本館には多くの外国人居住者がいます。これを支えている制度の1つが、居住者交換制度(Brassage)です。各館は自国の学生・研究者数を70%までとし、外国人の学生・研究者数を30%以上確保することが求められています。

設備・サービス

 各室の設備:冷蔵庫、寝具一式、机、椅子、戸棚、インターネット 各階の設備:共同キッチン(電気コンロ付き調理台、電子レンジ、オーブン) 男女別トイレ・シャワー室
共用設備:大サロン、小サロン、図書室、洗濯機2台、乾燥機2台、居住者談話室(プリンター、アイロン設置)


 居住者サービス:週1回の各室清掃、2週間に1回のシーツ交換。*居住者の多くは、近所のスーパーで買い物をし、共同キッチンで調理しています。また、大学都市本館にはレストラン、カフェテラスがあります。スペイン館、韓国館、ドイツ館にもレストランが備わっており、これらは誰もが利用できます。


居住者委員会(Comité des résidents)

 大学都市の各館は、居住者が学問・研究に専念し、かつ快適な日常生活を過ごせるよう、自治組織としての居住者委員会(コミテ)を設けています。コミテは、館長と協力しつつ、文化活動の実施、居住環境の改善、居住者の親睦などに積極的に取り組んでいます。
 

 日本館の生活について、居住者から要求や苦情が出た場合、館長に要求や提案を行うこともあります。このようなコミテは、年度始めに候補者を募り、居住者の選挙により選出されます。

日本館規則


必ず、日本館の規則を読んで承諾の上、お申込みください。
日本館規則(日本語)

一時滞在希望者へのご案内

一時滞在は、各館が独自の判断で認めるか否かを決定します。滞在者は、フランスまたは日本の高等研究教育機関と何らかのつながりがあることが求められます。


一時滞在申込み

日本館をはじめとするパリ国際大学都市の各館では、正規居住者をまず受け入れ、空室があるときのみ、一時滞在者にも部屋を用意しています。日本館では、一時滞在については滞在期間が 5 泊以上であることが必要です。

また、予約は原則として、
滞在期間が 31 泊以上の場合:滞在開始の 3 ヶ月前から
滞在期間が 21〜30 泊の場合:滞在開始の 2 ヶ月前から
滞在期間が 11〜20 泊の場合:滞在開始の 1 ヶ月前から
滞在期間が 5〜10 泊の場合:滞在開始の 3 週間前から申請を受け付けます。

一時滞在者用のお部屋は1室のみです。(シャワー ・トイレ・キッチン付き)
その他、シャワー・トイレ・キッチン共同のお部屋、シャワーのみ付きのお部屋があります。それらのお部屋は、正規入居者が優先となりますが、空室のある場合は、一時滞在者の受け入れは可能です。ただし、7月と8月以外の期間は、空室のないことがあります。

まず、メールで、どのような用務・資格で滞在するのかを伝えるとともに、希望滞在期間を表題に明記ください。一時滞在申請書に必要事項を記入し、お送りください。予約状況等を調整のうえ、受け入れの可否を回答します。受け入れが可能な場合のみ、滞在期間の室料を計算し、お知らせします。

室料は到着日までに振り込み、または、到着時にカードでお支払いください。お支払いが確認されるまでは、当館の都合により滞在期間や部屋の変更が生じる場合がありますので、ご了承ください。

日々、多数のお問い合わせを受けています。当館より返信のない場合は、空室がないものとご理解ください。また、振り込み方法などの質問は、できるだけご遠慮ください。返信に時間がかかることがありますので、ご了承ください。

一時滞在者用室料

日本館短期滞在申請書

新発見につながったフランスでの研究と日本館滞在

北海道大学 先端生命科学研究院 博士研究員 

ESPCI-Paris(パリ市立工業物理化学高等専門大学)

木山竜二さん(33歳)

ゴムやゲル(ゼリー)は私たちの生活に身近な素材ですが、電子顕微鏡でどれだけ拡大しても、その構造が「ぼんやり」としか見えないという難点がありました。パリ国際大学都市日本館に滞在する博士研究員の木山竜二さんは2024年秋、ゴムの分子構造をはっきりととらえることに世界で初めて成功しました。フランスでの研究生活が、発見に導いてくれたと言います。

――ゴムやゲルは身近な存在なのに、まだ「謎」を秘めていたことに驚きました。

ゴムやゲルが柔らかいのは、とても小さな網目状分子でできていて、しかも常に激しくふるえているからです。その特性ゆえに、小さなサイズの構造をとらえることが困難でした。フランスが誇る偉大な科学者であり、ゴムを含む様々な分野の研究の理論的基礎を作ったドジャン(1991年ノーベル物理学賞)は、細部がとらえきれない性質を逆手にとり、印象派絵画のように大胆に詳細を省いた理論で本質をとらえようと「印象派物理学」を名乗りました。ですが、近年は小さなサイズの構造の重要性が明らかになるに従い、「やっぱりもうそろそろ、ちゃんと見よう」という機運が高まり、さまざまな方法が試されてきました。私がたどりついたのは、動き回る網目分子を「やさしく固定する」という方法です。観察したい網目分子により目の小さな網目分子を差し入れて、その網目の中でしかふるえないようにしたのです。その上で、ナノ粒子を付着させて観察できるようにしました。2023年に北海道大の研究室で、ゲルでこの方法を成功させました。さらに、ゲルより応用範囲の広いゴムでの観察に挑戦しようとESPCI-Paris(=パリ市立工業物理化学高等専門大学)での海外研究を決めました。タイヤメーカーの「ミシュラン」が知られているように、フランスはゴム研究では世界でトップクラスの専門性があります。その知見を得ながら、ゴムでも構造観察に成功しました。共同研究先の教授に画像を見せると、初めに「おお」とうなり、「すごい」と言って質問攻めにされました。新たな観察手法ができたことで、今まで手に入らなかった情報がわかる可能性が広がりました。今もこの手法を使って新たな課題に挑んでいます。

――日仏の研究文化の違いなどで気づいたことはありますか。

所属する研究室は実用性を重視して「社会に役立つ人材を育てる」という意識が強いと感じます。例えば、企業は開発で困りごとがあればすぐに大学の研究者に相談し、資金も出して産学一体となって明らかにする――という流れがあります。その為、純粋な学術研究が盛んな日本と比べて、フランスでは企業との共同研究が多いです。研究との向き合い方も違っていて、日本人の研究者はわりと真面目な人が多い印象ですが、フランスの方々は遊びや旅行も大好きでもっと軽やかです。研究室の同僚達が長く休みを取るため、いっそ「私も」と夏休みはボルドーに出掛け、気分転換しました。私が籍を置くソフトマター研究室では、学生や博士研究員ら20〜30人が在籍し、同じくらいの人数の教員が所属しています。ゴムやゲルのほか、液体や摩擦などを研究する人たちが行き交います。研究者の国籍も欧州各国や中国、インドやタイなど幅広いです。研究室に行けばさまざまな分野のエキスパートと出会える環境は刺激的です。

――滞在先としての日本館の魅力は何でしょうか。

2024年春から2年間の予定で滞在しています。日本館には自然科学から人文、芸術までさまざまな分野の研究者が滞在しています。研究者にとって、専門と異なる分野の人から話を聞くことは、本当に大切だと思っています。日本館では居住者が自分の研究内容を紹介するセミナーが定期的に開かれています。私は天文学の研究者さんと「見えない世界」を研究対象とすることのおもしろさについて、意気投合しました。セミナーを通じて、異なる分野の研究者が自分の発表のどんな点に興味を持つのかも知ることができます。近い領域の人とだけ接していると、どうしても同じようなアイデアになってしまいがちです。ですが、本当に革新的な発見は、既存の枠内での知識や情報の積み重ねの上には生まれません。他の領域の知見と掛け合わせ、実験を繰り返した末に生み出されるものだと思います。留学先の研究室や日本館での生活は、日々の交流の中から新しい発見が生まれる可能性にあふれた環境だと思います。

(取材日 2025年1月25日)