お知らせ : 本年度(2025–2026年)の入居申請書類は、2025年6月25日(水)日本時間午後16時(フランス時間午前9時)までに日本館へご提出ください。詳細は入居申請のページをご覧ください。

ふたつの100周年に向けて

2025年、パリ国際大学都市は創立100周年を迎えます。1925年に設立されたこの施設は、国際的な平和と交流を促進する目的で設立され、以来、世界中から集まる学生、研究者、芸術家たちに、学問と文化を共有する機会を提供し続けてきました。この記念すべき年に、特別なイベントや展覧会が予定されています。https://www.citescope.fr/

また、2029年に日本館(Maison du Japon)薩摩財団は、開館から100周年を迎えます。日本館は、長年にわたり日本と世界各国との学術・文化交流の架け橋として重要な役割を果たしてきました。パリ国際大学都市の中でもひときわ特色ある存在として、日本の伝統と現代性が共存するこの施設は、多くの留学生や研究者にとって第二の故郷となっています。この100周年を記念し、記念式典や文化イベントの開催が予定されています。

  • 館長挨拶
  • 外務大臣来訪
  • パリ国際大学都市とは
  • 日本館の歴史
  • 薩摩治郎八
  • ご支援のお願い

館長挨拶

 2023年4月1日に館長に就任した時に、ホームページを一新いたしました。けれども、その後、技術的な問題のため、ホームページを定期的に更新することができませんでした。今回、やっとのことで、ホームページを抜本的に刷新することができました。今後は、イベント情報を中心に、日々の出来事も含めて、いろいろな情報を発信していきたいと思います。

 今年度(2024~2025年度)も、毎月、「日本館セミナー」を継続します。様々な分野を専攻する居住者から日本語で報告をしてもらい、対話と交流の機会を提供したいと思っています。さらに、法学研究会、« Forum de droit à la Maison du Japon »も毎月行っていく予定です。

 ホームページの刷新とともに、「日本館友の会」の制度を発足させます。会員登録をしていただくと、イベント情報を随時受け取ることができます。また、来年にはシテが、2029年には日本館が、それぞれ100周年を迎えます。いろいろな行事を企画したいと考えておりますので、ぜひともご協力頂ければと願います。

 以下は、就任時の挨拶の要約版です。

 私自身、1985年9月からフランス政府給費留学生として3年間、パリ第1大学で勉強をしましたが、その前半の1年半を日本館で過ごすとともに、居住者委員会の代表も務めました。それから40年近く経って、この古巣に戻ってきたわけです。

 私自身にとって、日本館はとても有り難い所でした。たとえば滞在許可証のイロハも知らなかった私にとって、居住者から日本語で手取り足取りの指南を受けることができました。買い物の仕方も含めて、思いやりのあるサポートを得ながら、安心して留学生活をスタートすることができました。しばらく経つと、専門を異にする人達との交流も──一緒にスキーに行ったりフェットをしたりすることによって──自然と深まりました。これは日本館では普通の光景ですが、考えてみれば、他では考えられない極めて貴重な〈場〉だったと思います。異分野の人々との交流は、日本に帰国した後も継続することができ、学問の幅をおおいに広げてくれました。そのことが、大学人としての歩みにおいて、どれだけ大きく影響したかは、とても言葉で表すことができません。

 今回、館長に就任するにあたって、私は自分が受けた恩恵を居住者の皆さんや日本館に連なる方々にぜひ広めたいと考えています。日本館の持つ潜在的価値を可能な限り引き出したいものです。

 もちろん、このような目標をどれだけ達成できるかは、今の段階では何とも言えません。けれども、結果はどうであれ、ともかく動き出し、ベストを尽くすのみです。大方のご理解とご支援・ご協力を切にお願いする次第です。

2024.09.28
日本館館長 金山直樹(慶應義塾大学名誉教授・弁護士・仲裁人)
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外務大臣ご来訪のご報告

令和7年5月3日、岩屋外務大臣がパリ国際大学都市・日本館にご来訪されました。

大臣には、日本館の施設をご視察いただくとともに、居住者との意見交換の場も設けられました。ご多忙の中、ご足労賜りましたことを、大変光栄に存じております。

今回のご来訪は、当館にとりまして大変意義深い機会となり、日本館としての使命と役割を改めて認識する貴重な契機となりました。今後とも、皆様のご支援を賜りつつ、日本館のさらなる発展に努めてまいります。

岩屋外務大臣をはじめ、ご来訪に際し、ご助力いただいた関係者の皆さまに、心より御礼申しあげます。

写真提供:外務省

パリ国際大学都市とは

                                     Cour d’honneur

パリ南端第 14 区に位置するパリ国際大学都市(Cité Internationale Universitaire de Paris)は、1925年にフランスの文部大臣アンドレ・オノラ氏の提唱によって創設された、パリ大学をはじめとする首都圏の高等教育機関や研究機関に在籍する世界各国の学生や研究者に宿舎を提供し、あわせて文化・学術の交流を推進することを目的とした施設です。 

パリ国際大学都市の本部建物には、図書館、劇場、室内プール、レストラン、銀行などの施設が設けられています。その本部建物を囲むように、広大な34ヘクタールの敷地内に47の建物が点在しています。これらは、いずれも学生や研究者のための宿舎です。各館は、大学都市本部が直接運営する直轄館のほか、各国の政府や財団、またはフランス国内の教育・研究機関が運営する非直轄館に分かれています。

日本館は、アメリカ館、スイス館、カナダ館、インド館、イタリア館、スペイン館などと並び、政府管掌の非直轄館の一つです。これらの外国館は、それぞれの国の特色を反映した独自の建築様式を誇っており、大学都市全体がパリの名所の一つとして知られています。

現在、パリ国際大学都市には、約12,000人の学生や研究者が居住しており、その出身国は150カ国以上にのぼります。各館は、自国出身の居住者を全体の70%以下に抑え、残りの定員を他国からの学生や研究者に開放することで、国際的な交流と異文化理解を促進しています。

日本館の歴史

  日本館(Maison du Japon)の正式名称は「パリ国際大学都市日本館ー薩摩財団」といいます。

この名称は、1920年代後半、当時パリで文化活動を支援していた薩摩治郎八氏が、パリ国際大学都市の創設者オノラ氏のビジョンに共鳴し、私財350万フラン(当時)を投じて日本館を建設し、大学都市に寄贈したことに由来します。薩摩氏は、文化と平和に基づく未来の世界を共に夢見、若い世代のための交流と相互理解を促進する場の創設を支援しました。

日本館は、日本古来の城廓を模した地上7階・半地下1階の建物は、フランス人建築家ピエール・サルドゥーが設計したもので、1929年5月に当時のフランス大統領や藤田嗣治などの臨席のもとに竣工式が行われました。

日本館の周囲は1825平米におよぶ日本庭園が広がり、日本館の建物とあいまって大学都市の一隅に日本的な雰囲気を醸しだしています。大サロンと玄関廊下には藤田嗣治画伯の二幅の大きな油絵が掲げられており、大学都市屈指の芸術作品として高く評価されています。

日本館は、1953年5月に日仏両政府が交わした「日仏文化協定」に基づく日仏文化施設の一つとして、両国間の文化交流に大きく貢献してきました。現在も、学者・知識人による講演会やシンポジウム、展覧会、居住者の研究発表、音楽学生によるコンサートなど、多様な文化活動が活発に行われています。

これまで日本政府の援助を受け、日本館は、二度にわたり全面的な改修工事を実施してまいりました。しかし、時の経過とともに老朽化が進み、現在では再度、大規模な改修が求められています。

薩摩 治郎八 (1901年4月13日東京都生-1976年2月22日徳島県没)

東京日本橋で一代で綿織物・薩摩商店で巨万の富を築いた薩摩治兵衛の孫(2代目薩摩治兵衛の長男)として1901年に生まれ、第一次世界大戦後の1920年、渡英オックスフォード大学でギリシア演劇を学びつつ1922年にパリへ向かう。第二次世界大戦期を含む約三十年間をその地で過ごす。

1929年、西園寺公望公爵の要請を受け、私財を投じ国際大学都市に日本館・薩摩財団を創立した。同年5月10日の落成式典後には、現在の金額で一億円を投じた大晩餐会を主催、欧州社交界の度肝を抜き、レジオン・ドヌール勲章5等のシュバリエを既に得ていた次郎八は、28歳で4等のオフィシエを授賞するなど、以後日仏交流のキーパーソンとなる。

I. ダンカン、M. ラベル、H. マティス、M. ドラージュ、H. ジル=マルシェックス、P.モーラン、F. シュミット、A. ロラン=マニュエル、J.コクトー、藤原義江、藤田嗣治、岡鹿之助、堀口大学等々、治郎八が親交を重ね、また活動を支援した内外の芸術家は数知れない。

世界恐慌のあおりを受けて実家の薩摩商店が廃業したのちもパリにとどまり、芸術家のパトロンとして、また社交界の遊興に30年間で六百億円を蕩尽した。

戦後1951年に帰国してからは破天荒な人生と本場で培った芸術や社交の豊かな知識を生かして執筆や日仏交流へ貢献をつづけ、帰国後に結婚した婦人の故郷、徳島県で1976年に世を去った。

ご支援のお願い

日本館は、薩摩治郎八氏の多大なる寄付により1929年に開館されました。彼の寛大な支援は、パリ国際大学都市における日本と世界との交流の礎を築き、多くの学生や研究者がここで学び、友情を育む場となっています。

現在、日本館は開館100周年を見据えた大規模改修工事を計画しております。これからの時代にふさわしい安全性と機能性を備え、次世代の学びと交流の場としてその役割を果たし続けるためには、皆様からのご支援が不可欠です。

これからの100年に向け、日本館が引き続き国際的な学問と文化の交差点であり続けるために、皆様の温かなご支援を賜れましたら幸いです。

薩摩氏の志を引き継ぎ、私たちもまた、この歴史的施設を守り、未来に向けてその役割を広げていく責任を共有してまいりたいと考えています。

ご賛同いただけましたら、日本館の未来を共に築く一助として、皆様のご支援をぜひお寄せいただけますようお願い申し上げます。

寄付に関するお問い合わせは、administration [at] maisondujapon.orgまでご連絡ください。※[at]を@に置き換えてお送りください。